関東堂場一家花村組系千田組に新たに入った吉成正一は、証券セールスマン出身の変わり種のやくざだ。彼は持ち前の才能を生かし、金の取り立てが抜群で、当初は順調なやくざ生活を送っていた。ところが、本家堂場組の組長が引退し、花村組の組長が2代目を引き継ぐことになった。その「継承式」の段取りを千田組長が任されたため、子分たちは大混乱に陥った。正一たちは突然、忙しい日々に突入した。 さらに問題が起きた。継承式の5日前に、媒酌人の雁金が急に入院してしまった。そのため、控え役を探す必要が出てきた。やむなく、常州梅ヶ崎一家総長・門田大作に依頼することになった。屈辱的な依頼をする使者として選ばれた正一だったが、美しい妻・恵を持つ門田は意外にも素直に引き受けてくれた。親分から褒められ、正一は有頂天になった。 しかし、幸運は長く続かなかった。今度は、繁田の指を詰める役目を親分から命じられた。正一は気分が重くなっていたところ、雁金が元気に退院したため、門田の機嫌...