東和生命保険会社の経理部長堀江亘は、石部金吉という異名があるほど、勤厳で実直な人物で、自身の努力で今日の地位を築き上げた。しかし、部下の一人が会社の金を使い込んだことをきっかけに、彼は浅草のレヴュ劇場に足を踏み入れ、踊子のエミーに出会った。その後、会社の集金三百万円を入れた鞄を紛失してしまった。彼は鞄を取り戻すためにエミーとの関係を深めることになり、ついには港町にキャバレーを開店し、落ち着いた。堀江はこれまで三十年間も病身の妻を守り続けてきたが、エミーの豊満な肉体にとらわれた後は、まるで牝犬の後を追い回る牡犬のようになり、エミーに引きずり回される存在となった。その頃、サキソフォンを吹く白川圭一が店に雇われ、エミーは彼に興味を抱き始めた。しかし、圭一がエミーを無視すると、エミーは本気で圭一に好意を持ち始め、堀江はそんなエミーに対して...