映画監督ヤンヨンヒさんは、朝鮮半島と日本の歴史の波に乗り、自分の家族の物語を映画に描いてきました。今回は、母親をカメラの前に置いた最新作「スープとイデオロギー」に込められた思いに迫ります。 ヤンさんの母親は、南北分断が激化した1948年、韓国済州島で起きた大虐殺「4・3事件」を生き延び、日本に渡りました。彼女は北朝鮮の理想を揺るぎなく信じ、ヤンさんの兄たちも「帰国事業」を通じて北に向かいました。ヤンさんのカメラは、これらの出来事の背後に秘められた思いを徐々に明らかにしていきます。 「私は北朝鮮も総連もタブーにしません。私は『腫れ物』ではないことを、人生をかけて伝えてきました」とヤンさんは語ります。この言葉を追いかけながら、彼の過去の映画作品も振り返り、家族と国家に向き合い続けるヤンさんの姿を描きます。